「港まで出れば船がある、俺達はまだ終わっちゃいない。」
そうだ、まだ終わってない、この下らない世界はまだ存在している。
それを壊すまで、俺の革命は終わらないのだから。
「短期決戦しかないでしょうな、連中はすぐに体制を立て直すでしょう。」
「裏門からの脱出か?」
「それしかないでしょうな、まあ、それなりの配置はあるでしょうが…今は、さっきの爆発の処理に人数を裂いとるでしょう。」
「迷っている暇はないな。」
俺達は即座に装備を整え、校舎の裏口に向かった。
当然、裏門にも警官隊の姿はある、だが、連中は忙しなく動き回っていた、どうやら本部の爆発が効を奏したらしい。
「では、始めましょうや、同志。」
俺達は、警官隊に対し一斉に銃撃を加えた、突然の銃撃に慌てる連中に、更に2斉射。
裏門を固めていた、警官隊が次々に倒れるのを見て、俺達は突撃した。
「不味いですな、思ったより数が多い。」
奇襲は成功したものの、予想外に多い警戒隊に阻まれ、俺達は包囲を抜けられずにいた。
堪えてはいるが、既に2人が殺られた。
「はは、参りましたな、このままではジリ貧というヤツでありますな。」
バリケードから覗く警官を撃ち倒しながら、戦争屋が笑う。
「だが、今更引けまい、だったら突破するまでだ。」
「いい思い切りですなあ、最高の舞台だ。」
戦争屋は実に楽しそうに笑う、なんて奴だ。
「いいでしょう、残りの爆薬を使って突破口を開きます。」
「貴様がやるのか?」
「他に居らんでしょう…同志、自分は貴方の革命を支持しとります、生きていたらまたやりましょうや。」
戦争屋の仕掛けた爆発を合図に、俺達は待ち構える警官隊に突撃した。
すっかりと静かになった。
港の倉庫街には、海鳥の鳴き声だけが響いている。
先程まで、耳を叩いていた爆発と銃撃の音が、まるで嘘のようだ。
船のある場所までは、まだ暫くはある…俺は倉庫の階段に腰掛けた。
「クソ…熱いな…」
海辺に射す日差しのせいではない、熱いのは腹の傷だ。
戦いの中では気付かなかった傷が、今になってやけに熱い。
気が付けば、流れた血でズボンがべっとりと濡れていた。
「最悪だな。」
見上げれば、青い空から夏の日差しが、じりじりと射してくる。
全く最悪の光景だ、この糞みたいな世界を、美しく照らしていやがる。
ふと、見上げた青空に黒い染みが生まれた。
それは、まるで硝子が罅割れるように、世界を包んでいく。
「はは…ははは…」
そうだ、これだ、俺はこれが見たかったんだ。
この下らない世界が、黒い罅に覆われて壊れていく。
何とも、痛快じゃないか…なあ…